炭坑記録画の数々
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ヤマの子供(5)(カッパ)
昭和33~38年頃

ヤマの子供 河童ヶ渕

 K坑から西方約五百メートルにあって嘉麻川の一本杵<欠損>百メートル程上流にあった。曲りクネリの多い川は自然に澱み、深く広く恰も湖水の如き観があった。此カッパヶ渕は昔からカッパがおって多くの人を曳き込み生命を奪うており、当時(明治丗四、五年)でも時々溺死者があった。それもカッパの仕わざと諦めていた。
 カッパはおらないでも岸の竹は鎌を入れぬから、いやが上にも生い繁り、そよぐ風に笹は踊るが如き影を水面に映し、碧空、笹の緑、水の青、川底にカッパが潜みおると言う陰妖逼り全身慄立つばかりの魔の渕であった。此処ばかりはサスガヤマの悪戯童子も迂闊に飛込うとはしなかった(カッパは水中に曳入れ尻から手をいれ肝を抜くとの噂)。尚、カッパの為皆が敬遠するので魚は溢れ出る程おった。この魚には大人も子供も何うして捕獲するかに悩んでいたのである。

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