炭坑記録画の数々
縁起、迷信、禁忌

縁起
昭和40年3月

昔のヤマ人

 地下の作業である関係上、縁起を担ぐ事はいなめない。死葬を黒不浄と云い、女の月経を赤不浄と言うて嫌い、妻が出産しても三日は休む。
 一 坑内で笛を吹奏する事はまかりならぬ。これは非常、変災の時、竹笛を吹鳴らして知らせていたと言い、今でもサイレンがなるのは非常である如く。中でも口笛を最も嫌う。明治三十年代、口風琴、クラリオネットが流行した。
 二 拍手も禁、柱のカミサシが重圧で割れる音が聞こえるぬからである。又パチパチと響くからでもある。
 三 頬被り、耳をふさぐからで重圧によって柱やカミサシの裂ける前兆がわからぬからである。
 四 猿を嫌う。顔と尻が赤いからではない。ヤマの人はサル、サルと言いなサルと嫌いなサル。猿の話は別紙サルまわしで詳しく記す。

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