炭坑記録画の数々
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昔のヤマ人(1)(狸 穴熊)
昭和33~38年頃
昔の坑内は浅かったので、麻生氏経営、上三緒炭坑の上層一、二片には 狸がおってヤマ人を怯かしていた。それも昼は出らない 夜の二番方残り人員二、三人になり淋しくなった十二時すぎにきまっていた。狸の悪戯は、石炭を掘る音、天井のバレる(崩壊)する音、炭函を押出す(走)音、(人の歩む音)水の流れるゴウ音、などで、人に発見され逃げばに迷うた時は柱に化けるとの事である。その柱がカミサシ(楔)のない、根もとが下になっている。坑内では逆柱であるから度胸のある男はスグ発見したと云うことである。
巧く手足をフシにしてゴマ化しておるがーー。
私は少年のとき学校の夏休中父兄と入坑して夜中に聴いた狸のイシ掘る音。いまだに耳底にコビリついて放れない。老坑夫の舌伝によると、イシ掘る音にはヒキヅルと云うツルバシの音がせず、炭車の音も車がレールに軋る音や結鎖がチャンチャンと鳴らぬぬらしい。(昔ハ鎖かけがなかった)。処によって穴熊は少シ違うフイゴのパッキンになる、或いはウジナ狢と云う此の狸が人を欺してオドケるとは、おかしくもあり滑稽でもあるがーー しかし昔実際あったから争えない。
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