炭坑記録画の数々
縁起、迷信、禁忌

天狗の霊水2
昭和40年9月

明治丗六年 天狗の霊水

お参りした信神者でお利益リヤクを蒙むった噂は毎日読いた(ヤマの話題)
(跛足や躄イザリが 歩んで帰るやら)。(盲人が活眼して杖を捨ててかえるやら)。
(唖オシが流行歌を唄うてかえるやら)。その効顕ゲンの いやちこい事はヤマ人の魂を根底より揺ぶった。それでなくても初夏のだだけておる季節、健康者でも迷う時。少しでもも体に異状のある人をあふり立てたのは言うまでもない。現今人でも迷神、盲信者は多いが、昔は真相もわからぬ神仏に迷う者が多かった。医師も少なく、金もいるからでもあろう―。

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