炭坑記録画の数々
縁起、迷信、禁忌

天狗の霊水4
昭和40年9月

明治丗六年   天狗の霊水  人事係長から叱咤(シッタ)され部下はやつ当り。坊主が憎けりや 袈裟(ケサ)まで。

ヤマを訪ずれる芸人もこの宣伝に大童わ(を利用) 数え歌売りの女が時々姿を見せていた。手拭をネエさん被り。 絣りのきもの赤いヘコ 白の甲かけ脚絆、草鞋ワラジばき(白足袋)で門口に立ち、鶯の発音ゆかしき美声をはりあげ 二三節を唄う。廿才以上

~一ツトセ―エ、人も知ったる筑前の―。朝倉郡の秋月に、豊前坊天狗が現われて、多くの人を救われる。二ツトセ―、不思議によく効く神の水。どんな難病もスグなよる。その霊験の有難や―。

この歌は廿節位に巧く語呂が合せてあり、(厚)半紙を横に二つ折りにしてあり、一枚金二銭也であった。著者は福岡市中島の橋口町 原田作太郎としてあるのが多かった。

ヤマの人事係(取締り)は秋月参りで入坑者はガタ減り、予定出炭も不足。ヤッキになって操込むが 依然休業者が多い。ヨッテお機嫌斜め。数え歌売りにもアタッテいたわけ。
オイ― コラッ― その歌やめろ―

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