炭坑記録画の数々
運搬(坑内)

坑内馬
昭和39~42年頃

 明治中期からの坑内馬。昔の中小ヤマは排水困難のためあまり深い坑内はなかったが、横(水平)方向に広く掘進するので、片盤(水平坑道)の距離が長くなる。二百㍍以上になると、馬を使って運搬する。
 (坑道が)浅いヤマは、毎日日没頃に(馬を地上に)あげるが、深い所は一週間くらいあげない。久しぶりに地上へあがった馬は、娑婆(しゃば)の風に吹かれ、喜び跳躍する。
 坑内馬は背の低い力の強いものを使うが、水を多く飲ませるから腹ばかり膨れている。
 これは明治だけでなく、昭和の初期にも馬を入坑させているヤマもあった。坑内用の炭函を五台くらいひいていた。(馬が運ぶのは1回で)三㌧または二㌧半。

 大正時代の坑内には電気が登場した。漏電(ろうでん)の際、馬は感電が早かったという。蹄鉄(ていてつ)の関係だろうか。人は感じないのに、馬は倒れる。



※片盤  片磐。炭層の傾斜する方向と直角で、傾斜のない方向。曲片ともいう。
※蹄鉄  馬の蹄に装着する鉄。

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