炭坑記録画の数々
ヤマの訪問者

しょうが売り
昭和41年6月

 ヤマを訪れた商人、しょうが売り。生姜売り(売ってしまえば食ってしまう)と諺(ことわざ)に残っており、よく大人たちの舌から出る言葉であった。これはあまり(生姜売りが)儲からないからであろうか。あのデッカイ太いテボに重量のある(生姜)を一荷として、朝から夕まではいずりまわるのも重労働であり、草鞋(ワラジ)もくたびれる。それに(生姜は)調味料であるから各家庭の消費量も少なく、多量に買わない。
(生姜を入れる)テボは細工の凝ったもので、白米をいれてもこぼれない(ほど目が細かい)。片荷に六〇㌔入れても余裕がある。径も高さも五〇㌢ぐらいあって、縁は丸、底は角になっていた。生姜も米より軽くないが、まさか六〇㌔以上も(生姜を)担いでいたとは思えない。
 昔は百六〇匁(もんめ)一斤(六〇〇グラム)が六銭ぐらいであり、唐芋(サツマイモ)でも一斤が一銭、または一銭五厘で比較的高かった。明治三〇年前後。




※テボ 石炭などの荷物を運ぶ際に使用する籠。

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