炭坑記録画の数々
坑内労働(仕繰)

ヤマの修繕方(坑内鍛冶)
昭和40年5月

 明治、大正初期の様子。ヤマの修繕方(坑内鍛冶)は常一番。大正以後は修補工または工作夫(機械)というところもあった。
 鉄管パイプ卸しは蒸気卸しともいう。いずれも排気坑道になっていた。ヤマが新しいうちは無難だが、数年経つと自然重圧で、この卸も荒れる。バレない(崩落しない)所もバン膨れして、蒸気パイプの継ぎ目から蒸気が吹き出す。それが何ヶ所もできると卸底のポンプ(に蒸気が行かず)動かなくなるから、採炭休業日に機械修繕方や鍛冶工等も応援して、ワッシャー(パッキン)の入替えをする。
 当日は途中の門扉を一部開放して冷風を誘い入れるが、熱さは45度以上あるので、流れる汗は滝のようである。裸の背中にヒツジ(雨水)が落ちかかると、飛び上がるほどアツイ。スパナを握ると、火傷するくらいである。
 スチーム(蒸気)管のワッシャー入替えは、蒸気を止めて行う。しかし(蒸気を)長く止めると、(管は)冷却して他の個所が漏れるようになるから、(作業は)迅速を要する。

 機械修繕方の后山は、モチカタ(持方)と言っていた。



※常一番  勤務時間が交代制ではなく、常時一番方(昼勤)に決まっていること。
※蒸気卸し 蒸気卸。蒸気ポンプの場所まで排気卸(炭層の傾斜に沿って下る方向の坑道)を通して、蒸気鉄管を敷設する卸。
※バン膨れ 盤膨れ。下盤(石炭層を挟む岩石層の下部分)が膨張すること。
※后山   後山、後向き。先山の補助者。

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