炭坑記録画の数々
ヤマの訪問者

遍路
昭和42年5月

明治 ヤマの訪問者

 ~チン、チン、カン、カン、ナンマイと言うて、米三升(四・五キロ)貰うた。まぁー二升貰えば五しょう(七・五キロ)となる。ヨイヨイ。
 遍路さんは南無大師遍照金剛が王座をしめていたが、六十六部さんは荷物が余りにもおむたかった。御仏壇を背負うていたからで、それだけではない。危険な道具を持っていた。前にぶら下げている小鐘である。それをウッカリ打はずすと睾丸を叩くからである。ヤマの頓智のよいおっちゃんは、命懸けの商売じゃと心配しておった。
 御仏壇を広場に置き、中にある径二五センチ位の据鐘をゴォーンゴォーンと叩き、安い線香を二本燻らし、凡人にはわからぬお経文を唱える。信仰者は五厘や一銭切符をお賽銭にあげる。
 金剛杖には石突(土に当る処に金具)をつけぬと云う事である。

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