炭坑記録画の数々
ヤマの訪問者

気合術 ガマの油売り
昭和41年3月

 明治のヤマを訪れた芸人商人。鉄の火箸を小指で飴のように曲げたり、大石を杖に結びつけ湯呑の糸底(外底)に立てたり、観衆の中から少年を引き出し、手を頭の上にのせ(あげ)させて固着させる。これはインチキを本人にささやき「耳ウチ(暗示)」している。こやつもすこぶる雄弁で、気合術の解釈・虎の巻の本を売りつける。今回は二十冊限りと言いながら、後から何十冊も取り出して多く(本を)売りさばく。中には鰐(ワニ)の干物(作り物)40㌢ぐらいを出して、これが太陽の光線と地球の引力の作用で動き出すなど、デタラメをしゃべって人の足を止めていた。

ガマの油売り(膏薬)。脇差(日本刀)の刃の長さ95㌢くらいの小刀。これで白紙一枚を霰に切って(細かく切って)花風吹きにして切れ味を示し、左の二の腕を斬り血を流す。それをガマの油をつけて直ちに癒す実演をやる。手には刀の切り傷が多く、ちょっとすごい。その刀にガマの油を塗ると、(腕が)切れないようになる。こやつもよくしゃべる。頬(ほお)を(ガマの油を塗った刀で)摺っても、肉は踊るが切れない。

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