炭坑記録画の数々
ヤマの訪問者
手品 軽業師
昭和40年11月
明治のヤマの訪問者、手品、カルワザ(軽業)。今でいう炭住街。昔は坑夫納屋をできるだけ切り詰めて建てていた。その(納屋の)狭い空き地を利用して手品を実演する。鉄輪をハメたりハズシたり、キセルで煙草の曲飲み、皿やコマまわし(なども実演していた)。
中でも日本刀の飲み込みは見事であった。見物料は投銭であり、子供が多いからロハが多かった。しかしヤマ人は金使いが荒いから、十斤印の一銭切符ばかりでなく、それ以上キバル(奮発する)大人もおった。白米一升(一.四㌔余)が十銭だから、(ヤマ人は)相当の金を握っていたので、(軽業師たちは)ヤマにときどき姿を見せ、子供たちを喜ばしていた。
※ロハ 只(ただ)を分解した言葉で、無料のこと。
※十斤印の一銭切符 切符は炭券ともいい、炭坑経営者が発行する私製切符で、重さの単位である斤(1斤=約600g)を単位とする場合もある。ここでの十斤切符は一銭に相当した。
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