炭坑記録画の数々
坑内労働(採炭)

先山後山 天井打診
昭和41年5月

 明治時代の先山、后山(後山)の天井打診。切詰(キリヅメ)、切羽面は断層ぎわでない限り容易に落盤しないが、掘削後のカイロなど、時々打診して浮いた天井(ボタ)を調べて落盤防止をしないと、アトムキ(後山)に怪我をさせることがある。
 炭掘るばかりが先山さんの仕事ではない。切羽やカイロの安全確認も先山の責任である。よって、素人先山と組んだ後山は危険が多い。もちろん、ヤマによっては絶対に落盤しない天井もあるが、それでも油断できない。ヌケ天という厄介なものがあり、すり鉢型に落ちてくる。
 
地下の仕事だー、バレ(落盤)が怖くて石炭掘れない…。もっとも、ノイローゼになれば坑内に入坑できない。かといって、天井崩落を頭におかなくてはならない。ここが、人生苦楽の行進路、行進曲。

 昔のヤマ人は、天井落盤でボタをかぶる負傷を一番恐れていた。ガスケも恐れていたが、小ヤマには(ガスが)ないところが多かったからである

 タオルとは言わない手拭をかぶっても、耳は包まない。なぜなら、(天井落盤の)重圧でカミサシ(楔)の割れる音が聞こえないからである。したがって、頬かぶりを嫌う。スラは二百㌔以上石炭を積む。




※切詰  坑道の終点、行き詰まり。
※カイロ 街路、街道。石炭を人力で運ぶ運搬坑道。
※ガスケ ガス気。ガスの気配があること。

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